塩分は、体液の浸透圧の維持や血液の酸・アルカリのバランスの調整、神経刺激の伝達、消化促進など必要不可欠な重要な役割を果たしています。 多くの食材に含まれているため、ほとんど不足することのない成分です。
多少多く摂取したとしても、尿中に排泄されるため心配はありません。 ただし、人の食事を与えるなど、極端に塩分の多いものを与えると、腎臓や肝臓などに負担をかけることになります。
健康の維持にとって重要な塩分を減らした減塩のドッグフードは、心臓病や腎臓病、肝臓病などがかなり進行した状態で使用するものです。
心臓病では進行すると、腹水がたまったり、尿量が増えたり、飲水量が増えたり、いろいろな症状が現れます。 心不全の症状が出る前には体内での塩分の貯留が始まりますので、この時に減塩のドッグフードで対応します。 また、心臓に負担のかかる肥満の状態であれば、減量も行います。
腎臓病は、感染症や薬物などでも機能が低下することがありますが、加齢による慢性腎不全が主な原因となっています。 飲水量の増加、尿の量や回数の増加などの症状が現れます。
腎機能の悪化は着実に進行しますので、症状の緩和のために減塩のドッグフードを使います。 併せて、タンパク質やリンの制限も行います。
肝臓病は、代謝・合成・貯蔵・解毒といった重要な機能が低下しますので、動くこと自体が苦しくなってきます。 黄疸が現れるような重症になると、腹水もたまるようになります。
腹水や浮腫があるときは塩分が蓄積されるため、摂取を制限しなければなりません。 この時、減塩のドッグフードが使われます。
いずれの場合も命に係わる重大な疾患で、動物病院に通院しなければならない状況です。 獣医師が診察・診断し、投薬や食事療法の支持をしますので、その指示に従ってドッグフードも与えてください。
指示もないままに勝手に減塩のドッグフードを与えると、稀なこととはいえ、体調が悪い状況ですから、塩分の欠乏症状が出ないとも限りません。
参考:
肝機能維持のドッグフード
ドッグフードは塩分が控えめ